テーマは「雨」 雨で始まり、雨が流し、雨が記憶を起こし、雨が語り、雨が終わらせる、雨にまつわる物語を集めた短編集です『この雨が上がる頃』 著 大門 剛明

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その他

オススメできる人

  • 「王道とはひと味違うミステリーが読みたい!」
  • 「雨がどうつながっていくのか興味がある」
  • 「雨って嫌なだけなものじゃないの?」

読んでみると……

雨って……色々あるんだなあと思えます

最初に

雨が降る夜の住宅街のイラスト(背景素材)

「雨」

「やまない雨はない」「空はいつか晴れる」といったようにネガティブを表すというよりは相対的にネガティブにされがちといった感じですね。日常生活で雨が降らないほうが基本的にはいいので、そういった形でもどこか嫌な雰囲気を感じてしまうのも仕方ないでしょうか。小さい頃無理やりサッカークラブに入れられていた時雨降ったら「よっしゃー!!!」ってなりましたが

とはいえ、「恵みの雨」というように農作物の助けになったり、生き物たちの癒やしとなったりと決してなくていいものではありません。まあ自然現象ですからね。

ポジティブさもネガティブさも状況や人、生物によって色々変わるのが雨というものですね。

さて、今回のそんな雨にまつわるミステリーです。

タイトルから選んだので偶然だったのですが、以前紹介したこの本と同じ著者の方でしたね。今回は短編集となりますが、相変わらず面白いミステリーでした。

さて、彼らの上に降る雨は、「恵み」でしょうか、それとも「災害」か……あるいはただ見守るだけの存在なのか……最後まで読まないとわかりませんよ?

語り手すらわからない

この物語は語り手の視点のみで進んでいくのですが、正直、語り手が読んでいても特になんということもない登場人物です。まあ、ニートだったり、刑事だったりという個性はあるにはあるのですが、あまり強烈な個性がなく、共感しやすいです。

小説を読むと、個人差はありますが、語り手と意識をシンクロ……まあ、語り手の目となり耳となり、感覚を共有しますね。いわゆるシンクロ状態です。それは想像力だったり自身の経験だったりあるいは人から聞いた話、テレビ等の映像で見た話から背景、人物像を想像する力とも言えます。

しかし、いくら自分を重ね合わせても、完全に主人公になれるわけではなく、過去や体質のことなんて何もわかりません。

「当たり前じゃん」と思われるかも知れませんが、この本を読んでいくと、シンクロの錯覚が他の小説より強くとらわれ、そして気がついたら突き放されます。

まるで、相手の気持をどれだけ理解しているようでも、理解しきれないところは確実にある……そんな当たり前のことで、でも忘れがちなことを改めて示されたような気分です。

読んだら読み返したくなりますね。

ただ全部がそうというわけでもなく、いくつか例外もありましたが。

雨は一体何とつながるか

ところで、皆様は雨の特徴はどれくらいご存知でしょうか。

濡れるとか、交通機関が混雑する、農家が助かったり迷惑だったり……という特徴だと、「そんな当たり前の事言うな!!(2回めと怒られそうですが、調べると様々なことがあります。

例えば、雨が長く続いた後だと、特定の商品がよく売れるようになったり、1流料理店は雨が降った場合、出す料理の種類や味付けを変えたりといったり意外と知らないことは多いものです。

文章表現にしては、時間の経過、あるいは気持ちの変化、あるいは思い出の象徴などを表すことも多いですね。

物語中は様々なものが雨と繋がります。ただの背景という可能性もありますが、中には直接的だったり間接的だったり様々な要素が絡んでいます。

裏の裏

どれか一つでも読んでいただければ分かる通り、全ての物語はどこまでも裏を読む物語です。起こった出来事が本当に偶然だったのか、それとも誰かが仕組んだ必然だったのか……あるいはそもそもが本当にあった出来事なのか、もっと深い意味があるのではないか……となかなか考えると止まらなくなりそうです。

陰謀説なんてものが時々、話題に上がるぐらい、人は裏の話が好きなんじゃないかと思います。もちろん第三者のものですが。

やはりヒントは「雨」になります。最も、雨の裏をとるのは決して楽では有りません。雨は過去も未来も降り、そして、大概の国(少なくとも日本国内全てで)降り、そして誰の上でも降ります。可能性は無限大です。

3次元の上は4次元であり、4次元で加わるのは過去と未来という話もありますが、案外、そういう途方も無い考えを身近で考えるヒントになるかもしれない……というのはちょっと大げさですね。

一つだけヒントを言えるなら……「罪は雨では流されない」ということでしょうか。

終わりに

短編集なので、すぐ事件が起きて、わりとすぐ真相がわかりますが、この真相がなかなか衝撃が強いものなのでかなり読んだ満足感が得られました。

とはいえ、私が先を読めるような物語もありましたので、ミステリー中級者から上級者の方にはちょっと物足りなさもあるかもしれません。しかし、油断していると意外なところから隙をつかれるかもしれませんよ?

月並みな言い方になってしまいますが、やはり「雨」というのはどこか神秘的かつ、恐ろしい雰囲気があるのでミステリーと相性がいいのかもしれません。ぱっと例が思いつかないのが悔しいですが、他の本を読んでみて、この本を思い出したらまた記事として紹介したいと思いますね。

全体としてはぱっと読めるミステリーがお好きな方には是非おすすめです。雨の日に読み、登場人物たちと一緒の景色を観ていると考えて読むのも風流感を出すのもオススメです。

雨は結局雨でしか有りません。見る人によって、時間、思い出、感情は色々変わるというのを思い起こすのも良いかも知れませんね。

もう一つのテーマ

「裏」ですね。もう何回か言いましたが、果たして物語の裏、作者の用意した裏を登場人物たちより先に見つけられるでしょうか?

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