『危うく一生懸命生きるところだった』著ハ・ワン:ブログテーマは「苦労」 ○○しないと見えないものもあるものです。

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あやうく一生懸命生きるところだった その他

おすすめできる方!

  • 疲れている方
  • 何をやっても報われないという方
  • 本当はわかっていることを知りたい方

※当ブログでは、作品の考えに合うものを、合わないものを、読むことによる利点になるものをで色分けしています。

結論:あなたが望まないなら立派な人でなくても良いんです。一度停止して確かめてみましょう。もし無理なら、誰かに代わりに止まってもらいましょう。

最初に

「努力」「一生懸命」

世の中で最も尊いと言われているものの一つです(あれこのくだりどっかでやったような?)たとえ実力が振るわなくても自分の出せる力を出し切ったら評価されたり、少なくとも多くの人の慰めてもらえたりと、頑張る人には人は(基本的には)優しくなるものです。

しかし、一方、いくら努力しても報われない、一生懸命やっても認められないということも人生には当然あります。頑張っても一生懸命やっても自分が望むものが得られない、そんなときにはどうしたらのいいでしょうか?

それでも頑張り続ける?一つの道です。

ですが、決して道はそれだけじゃない、それが今回の本です。

韓国のとあるイラストレーターの方が突発的に仕事をやめ、自分の人生を思いかえしつつ、世の中のおかしな部分や常識を疑い、無理に努力すること、あるいはやらなくてはいけないことを人生を一度立ち止まった立場から冷静に見つめます

「自由になれた!みんなも仕事辞めちゃおう!!」といった指南書ではありません(それはこちらをどうぞ)自由を手に入れた著者は自由そのものに悩んだり、あるいはやはり周囲のギャップに翻弄され、理想がどこかと悩むような話も出てきます

それでも、一見誰にでもできるようで、非常に勇気の必要な「一生懸命やらない」は、多くの人が見落としがちなもの、偉大な研究者たちが実験で見つける成果に匹敵する(かもしれない)いくつもの考えを見つけていきます。

確かに、経済学者のように、世界に詳しいわけではなく、心理学者のように人間の心に精通しているわけではなく、なにか特別な経験をしたわけではなく、ただあらゆることで「一生懸命」になることをやめた人です。

理論ではなく心情から、そして「理解させる」ではなく、共感させる」ことから読者に語りかける本と言えるでしょう。

読めば、「今」本当に大切なもの、我慢する必要性、そして自己肯定という言葉とは別の自分を大切にするための方法を見つけることができるでしょう。

それにしても、韓国は日本の相違点ばかり目立つのでかなり違った国なのかと思いきや、人の悩みや常識など意外と傾向が近いものなのですね(兵役や、小学校の入学年数、ことわざなどやや異なる部分もありますが)

おすすめポイント!

本当に”無力”。でも無力にも”力”があることがわかります。

色々な本を読んできましたが、こういった本は「ダメ人間っぽいけど今は成功している人」という傾向があります。本を出している時点でそういう印象があるのもの仕方ない部分だと思いますが、ちょっと劣等感を感じてしまいがちです。

どこか著者に特別感があり、かえって「楽になりたくて読む」という目的のためには不都合なことがあったりしませんか?

しかし、この本は違います。

著者の方は、本当に何もしていません。貯金を崩しつつ、先の見えない未来すら気にすることをやめ、はたから見れば自堕落といっていいほどの生活を送りつつ、そして自分が過去に頑張っていたことや、考えていたこと、そして自分を巡る世界全体を改めて考え直していくという形で本が進んでいきます

劣等感どころか読者に一種の優越感を感じてしまいそうになります。しかし、まさにこれこそが著者の語りたいことの一つなのかもしれません。

成功という誰が見ても「正解」という形ではなく、「自分がいいと思える一つの道」を誰に何を言われても……いえ、違いますね。

誰かが否定的に言ったことすら違った形で自分の人生に組み込むほどの柔軟性を持っていました。これが無力の力なのかもしれません。

常識、慣習、善悪、立派さ、異端…… 著者自身もかつては悩まされていたものであり、そして一生懸命になることをやめたとき、様々な答えが、それも一つではなく、もはや答えと言ってもいいかわからないほどの考えが浮かんできました。

読めば、あなたも「はっ」となるような共感ができるはずです。そしてその時こそ、周りの声に流されることなく、もう一度考え直せるようになるです。

本当はあなたもわかっていたことだけど、わかっていないふりをしていたことでもあるのですから。

無力になることは本来、勇気さえ出せば、誰にでもできるはずが、決して勇気自体は簡単なものではないとわかりました。

イラストの超絶破壊力

元イラストレーターの方でもあるのですが、語った後のイラストの破壊力がすごいです。

まずパンツ一丁のおじさん風貌の成人男性が様々な考えを語り、基本的にツッコまれ、ときにツッコミ返し、そして「もっと楽に生きたい」という表現を一枚の絵で語るのです。

なかなか癖のある絵であることは否定しませんが、読んでいるとそのうち、絵を見ることも楽しみになっていきますね。見ていて肩の力が抜けていくのを感じます。

しかし、思わず脱力してしまいそうな絵ですが、一方であなたの心に突き刺さるようなたった一言の鋭利さ、そして一枚の絵で著者の言葉が簡単に伝わり忘れられなくなるような破壊力が伝わる絵でもあります。

理論ではなく心情から、そして「理解させる」ではなく、共感から読者に語りかける本ですが、イラストが一役買っているのは間違いないでしょう。

すべて読み終わったら絵だけ見て、もう一度著者の言いたいことを考え直してみるのも読書のいい練習になると思います。最近は絵のない小説や、ビジネス本も多いので割と他ではない楽しみ方ができるでしょう。

「頑張ればうまくいくかどうか?」を再認識できます

何よりこの本の一番の魅力は、「頑張っても報われないことがある」そして、「頑張らなくてもうまくいく人がいる」ということを肯定的に認識できるようになることです。

もちろん頑張らないとうまくいかない」ことも多くあります。「運は頑張る人の味方」という言葉もありますしね。

ただ、根本的な考えとして著者は「そもそもうまくいく」ことを望んでいません。

「一生懸命になって得るもの」より「一生懸命にならずに得るもの」のほうが価値が大きいと考え、そして一生懸命であることをやめたのです。

なにか保証があるわけでもありません。将来に希望をもっているわけではありません。そしてこのままでいいことを信じているわけではありません。

しかし、読んでいて思ったのは著者の人は「生き方が楽になったこと」というよりは「考え方が楽になった」と私は思います。そしてその考えをこうして本の形に残せるほど、様々な考え、行動、そして得るものがあったわけです。

「頑張らなくてもうまくいった」というよりは「頑張らなくてうまくいかないからこそ、得られるものがあった」と言えるでしょう。(とはいえ、著者が「頑張らないことを頑張った」という理屈はあるかもしれませんが……)

「頑張る」か「諦めるか」という選択肢ではない、もう一つの選択……著者が選んだ「一生懸命やらない」こともそうですが、二択のように見えても人生の答えはやはり限りなく多いということを再認識できました。

もし、あなたが、「うまくいく」以外の道を見つけ、第三者の立場から様々なものを見つめることができれば「頑張っても報われないことがある」そして、「頑張らなくてもうまくいく人がいる」という認識を苦しむことなく受け入れることができるはずです。

そしてきっとその考えはあなただけではなく多くの人を助ける考えになると私は信じています。

ちょこっとダメ出し

状況によっては家庭の問題などで、「一生懸命になれない」人もいるのでそういう方に対してはただ妬ましいだけの本になってしまうかもしれません。

最後に

文章として学ぶ……というよりは様々な形で1冊の本として色々学べる本でした。

文章、イラスト、そして著者の生き方そのものが実態を持って教えてくれた気がします。

まあ何より大切なのは、”休む”という次にまた働くことを前提とするためではなく、止まる、というただ単独での行動が結果として多くの知識を著者にもたらした、という点です。

日々の忙しい生活の中で、「なんとなく考えが浮かんだこと」はあっても、文字通り忙殺され、忘れていき、そして結局はわからないまま終わってしまうことってありませんか?

「立派」や「すごい」と言われるような人はたいてい忙しい人であり、弱点と言えるかもしれません。(もちろん誰かに伝えられるような良いこともあるはずですが)

実際のところ、この方の生き方が正しいのかはわかりません。そして考え方も正しいのかはわかりません。

ただ、一つ言えることがあります。

著者が仕事をやめ、「一生懸命をやめた」ことによってこの『危うく一生懸命生きるところだった』が生まれたということであり、そして多くの人の共感をよび、心をつかみ、そして「楽になれる考え方」を見つける手助けになりました。

最も著者自身も行きあたりばったりであることを自覚しており、それなりに覚悟のいる生き方なのでしょう。何より私達自身、同じ生き方をするには相当な勇気と覚悟と、そして行動力がいるのではないでしょうか?

そんな勇気のない私のために、動いてくれた……というより止まってくれて様々な教えをくれた著者にあらためて感謝したいと思います。


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