番外編 テーマは「アホ」ミステリーなのにネガティブ感ほぼ0!?『謎解きはディナーの後に』 著 東川 篤哉

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その他

オススメできる人

  • ミステリーが好きな人
  • 血みどろとかドロドロな人間関係が苦手な人
  • ミステリーで笑いたい人

なんで2巻かって?後で説明いたします

今回は番外編として、あまりネガティブではないですが、以前紹介するとブログに書き、またネガティブと全く関係がないわけでもないので紹介させていただきます。

最近少し、ネガティブな作品が多かったのでもしちょっと落ち込んでいた方は大いに気分を盛り上げられると思います。

さて、上の記事でも伝えましたが私の主観的な意見として、ミステリーはネガティブ感を活用するのにちょうどいい題材です。舞台、謎、人間関係、などなど様々な要素がありますが、一番大事なのは、犯罪動機と人の裏事情です。

人が本来道徳や倫理から外れるのはかなり深刻な事情、あるいは常軌を逸脱した過去や精神状態が絡みます。

本人が原因、悪く言えば自業自得のこともあれば、どうしようもない悲運、あるいは環境の劣悪さなどが絡んできて悲劇が起きてしまったという物語に対し、登場人物視点に深く歩み寄る姿勢を鍛えたり、あるいは自分が陥ったらどうするかということを考えたり、もしくは現在同じような状況に陥っている時に戦う方法を身につける、といったネガティブ力の活用になるからです。

言ってしまえば、「危機管理」「同情」「同調」といったややネガティブともいえる感覚が養えるとも言えるでしょう。

さて、ここからが本題です。

認知症のお爺さんのイラスト
情?動機?危機管理?それっておいしいの

と、言わんばかりにネガティブな雰囲気どころか、犯人への同情や、シリアスな雰囲気、主人公視点での犯行動機の考察などのミステリーの王道を全部鼻で笑い飛ばして遠くへぶんなげるような作品も世の中ちらほらあります。

あまり深刻な事件、とくに殺人などを軽く扱うと色々な場所に怒られそうな気もするのですが、どこ吹く風と言わんばかりのミステリーも世の中にはあります。

代表例と言える作品が「謎解きはディナーの後に」です。

概要

物語の主人公、宝生麗子は国立署に務める女刑事、上司である風祭警部のめちゃくちゃ推理や言動に振り回され、時々ツッコミを入れつつ、事件を解決に見びくために操作します。

しかし、その正体は、超がつくほどのご令嬢、休みに外へ出ればあちこちで高級品を買い占め、自宅へもどれば身の回りの世話を執事にやらせ、そして朝の真面目っぷりが嘘のように、常識を投げ捨てた言動が目立ちます。

ある夜のディナー時、高級な食事を楽しみながら、ひょんなことから執事である影山に現在取り組んでいる難事件のことを説明しました。どんなことでもいいから遠慮なく意見を聞かせてほしいと。対する執事の返答は……。

この程度の真相がお分かりにならないとはお嬢様はアホでいらっしゃいますか?

謎解きはディナーのあとで 第一巻 第一話より
クビーーーーーーーーー!!!(※イメージです)

当然激昂し、クビを宣告する麗子ですが、怒りを押し留めた後、影山に真相を聞くと、現場を見てもないのに関わらず驚きの洞察力、そして推理力で彼女が抱えていた事件の真相を見事暴きます。

朝は風祭警部に突っ込みつつ、事件周りを調べ、夜は、ディナーの後(というより最中も?)麗子を恐ろしく馬鹿にした発言をしながらも、ビッグマウスっぷりを裏切らない華麗に謎を解く日々が始まっていきます。

え?その後どうなるか?謎を解いて終わりですよ?事件後の処理?犯人の自供?何のことやら。

人間関係?動機?多分こうです。

ミステリーの醍醐味の一つとしては、犯人や周りの壮絶の過去、そして動機や犯人の自供などが大きなテーマの一つになります。

ですが、あくまでミステリーと謎、そして風祭と麗子、そして麗子と影山のコントのようなやり取りが基本的に中心となっており、他のミステリー要素はほぼ全部淡白、あるいは皆無で終わります。

正直、複雑な人間関係や、犯人の動機は「多分こうなんだろうなー」で終わります。そして犯人の自粛や涙ながらに語るシーンなどもほとんどございません。話題によっては今にも語りそうなこともありましたが「そういうのいいから」と一周されるほど無慈悲っぷりを発揮します。

朝は風祭警部と麗子、そして夜は麗子と執事というスタンス以外は全部、いい意味で問題にされない、悪い意味では適当といっても良いかも知れません。

人間関係の複雑さなどから推理したい方にはちょっと向いていないかも知れませんが、単純にとにかくトリックを見抜いたり、不可能さを可能にする方法を考えたい人は楽しめるでしょう。

ちなみに、毎回1度は飛び出す風祭警部の暴走、(極稀にないこともありますが)影山の罵倒、そして麗子の仕事中とプライベートのギャップなども非常に面白く、ミステリー要素以外のこの物語独自のお約束も楽しめます。

3巻ありますが、全部読んでもあっという間に終わると感じられるでしょう。(風祭警部が主役の番外編もあるらしいです)

総評

ミステリーとか謎解きは好きだけど、ちょっとネガティブな感じだったり黒々しいのはちょっと……。という方にはこれ以上ないほどオススメです。

雰囲気も明るく、短編集ということから短時間でも読みやすいので、子供から大人まで楽しめるミステリーとしてはかなり適正があります。

冒頭でも述べましたが、何かとミステリーやサスペンスはネガティブなイメージがつきものですが、当ブログのテーマの一つでもあるネガティブさをポジティブに変える力の一つと言えるかも知れません。

ドラマの方もありますから、レンタルできるものの場所を探してみてもいいかもしれません。

残念ながら私は見たことないのですが。

もちろん、謎もなかなか難しく、一見不可能なトリック、不可解な行動、犯行動機がわからず、誰かがやったか検討もつかないといった話も多く登場し、普通にミステリー好きな方も楽しめる本です。

ミステリー初心者から中級者の方、子供から大人まで幅広くオススメできる作品です!

余談

ちなみになんでアイキャッチ画像の巻が2巻かというと、1巻が現在行方不明だからです。見つけた方は当ブログにご連絡をお願いします。もしくはできる方は影山さんに連絡をお願いします。

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