『認知バイアス辞典(行動経済学・統計学・情報学編)』(著:情報文化研究所)のたくさんの魅力と内容をちょこっと紹介します。「偏見」のネガティブを打破しましょう!!

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ネガティブ・トレジャー!

一言

偏見に振り回されますか?それとも偏見をバネにしますか?

本について

バイアス、すなわち、偏った見方、偏見、先入観、思い込みについて書かれている本です。

差別や問題発言などが騒がれている中で、このような考え方に良い印象を抱く人はいないでしょう。物事は平等に、かつ道徳的に考えるのが理想であるため、反対に位置するバイアスは嫌われるのも道理です。

しかし、このバイアス……生きていれば誰もが持っているものと言われたらどう思いますか?

「自分はそんな偏見とかないよ!!自分には関係ない!!」

と思った方もちょっとお待ち下さい。次のようなことで困ったりしてませんか?

「広告に引き寄せられてついつい買いたくもないものを買ってしまう」

「データなど見せられると正しいと信じがちになってしまう」

「他人が自分の常識通りに動いてくれなくてイライラする」

そしてこういった考えにたどり着いたとき

「なぜそうなるかがわからない」

とつながった場合はあなたの中のバイアスが悪さをしている可能性があります。残念な話ですが、バイアスはどれほど持たないようにする公平で平等な考えを持とうとしても決して逃れることはできません。そもそもその公平さや平等さですらバイアスがかかってしまうからです)

しかし悲観することはありません。

この本を読めば、様々なバイアスについて理解でき、どのようなときに起きるか、どのように使われているかを理解することで、適切な対応や注意喚起、そしてバイアスを利用することすらできるようになります(悪用厳禁ですが)

事典なんて堅苦しいタイトルはついていますが、内容はかなり優しく、学生から社会人まで誰でもわかりやすく理解できる内容となっております。

自分の家計を見直すのもよし、あるあるネタとして雑談で語るもよし、仕事で行き詰まったときに突破口に見出すもよし、非常に用途が広い本となっております。

読めば楽しみながら「偏見」を味方にできるでしょう。

すなわち、「偏見」が宝となるのです。

それぞれのお役立ちポイント!

いつもは本全体で役立つおすすめポイントをお伝えするところですが、せっかくなので、それぞれの章がどのようにあなたの役に立つのかをお伝えします。

興味がある部分から学んで見ると非常に楽しめます。

行動経済学的アプローチ

大前提として人は「損をしたくない」「傷つきたくない」という考えを持っているため、無意識的に動いてしまいますが、そういった考えを利用されることも多いです。

自分では合理的な判断をしているようで、実は、バイアスを利用されて誘導させられているのかもしれません。結果、無駄遣い、詐欺、問題の先送り、結果として損をしてしまい、ゴミが増えていくわけです。

100%と99%や無料と1円の違いの大きさ、どうして真ん中を選んでしまうのか、同じものでも他の条件が変われば姿を大きく変わるもの……。知れば知るほど、世間の巧みな商売方法についつい誘導されてしまうことがわかります。

特に強力なものとして「デフォルト効果」が挙げられています。人は初期設定から動きたがらないというバイアスなのですが、なかなか覚えがある人もいるのではないでしょうか?

本当に欲しいものを見つけたり、自分の目標を叶えたいときに障壁となるバイアスについて知れば、家計管理や、計画を立てるときに役立つでしょう。

統計学的アプローチ

グラフや調査方法についてはまりがちな落とし穴や誤った真実を錯覚してしまうバイアスについて書かれています。

「なんとなく長いほうが良さそう」「すごい効果がありそう」は視覚がもたらしている錯覚かもしれませんし、「こういうときはこうだ!」というのはただの偶然かもしれません。

率直に言ってしまうと、「嘘をつかないで騙す方法」となりうるバイアスです。

そんな視覚的かつ、直感的に判断してしまいがちなグラフの作り方について述べられています。

ただし、この章は役立つのは間違いないのですが……だいたい難易度は変わらない他の章と比べると最初は簡単なのですが後半になっていくにつれてかなり難しいものが多くなってきます。特に「有意差の誤謬」「モンティ・ホール問題」「基準性の無視」は繰り返し読まないとなかなか理解できないかもしれません。

大切なことは真実というのは難しいものということがわかることですね。それを知るだけでも、騙されたり、勘違いする可能性を減らせるかもしれません。

情報学的アプローチ

「なんでこんな理屈が通ってしまうのか?」

「なんでこんなことになってしまうのか?」

こういったへんてこな出来事の裏にあるバイアスについて説明しています。帯にある「あなたが思うほどあなたはかしこくないし、周りはバカではない」という理由について書いてある章です。

一見馬鹿げたことに見えても、裏にはそれなりの理由があるということがよくわかる章です。決して他人事ではなく、あなたもすでに陥ってしまっているかもしれません。

ただ、読めば落ち込むかと言われるとそうでもなく、天才だろうが、偉人だろうが、失敗するときは失敗するということがよくわかり、私は逆に落ち着きました。

特に「第三者効果」については私達は全員知らなければいけない問題と言えるでしょう。自分以外の人間が影響を受けやすいなんて傲慢な考えは持っていると信じるのは難しいですが……悲しいことにいろいろ覚えがあります。

人間は結局、愚かなものであり、愚かと知って努力しつづけるしかないのかもしれませんね。

最も、愚かさと戦うかどうかもまた、バイアスに従うか、それとも抗うかを決めるのと同様、自分で決める余地を残したいものです。

注意点

もしかしたらここまで読んだ方で察しの良い方はこう考えるかもしれません。

「そもそもこういう本を読んでこういう理論が正しい!!と思ってしまうこと事態がバイアスじゃないか」

まったくもってそのとおりです。

というわけで注意点として、この本について絶対の真理だとは思わず、あくまで新しい視点の発見従来の自分の短所の見直し、あるいはちょっとしたコミュニュケーションの雑談に使ってください。

実は、そういった書籍のバイアスをついつい信じてしまうバイアスもまた、紹介しています。それが、情報学的アプローチの4章にある「ウーズル効果」です。

もしこの本を読んでいただけるのならば最初に読むと、肩の力を抜いて読めるかもしれません。どれだけ頭の良い人でさえ、偏った考えは起こしてしまうものですから。

最後に

偏見というのは歴史的な大きな観点から見ても人類が生きてきた遺伝子から生まれたものでもあり、そしてあなた個人の小さな観点から見ても様々な経験や知識から生まれる副産物のようなものであり、決して逃れることはできません(よほどの悟りを開いた人なら話は別かもしれませんが……)

こんなブログを書いてますが、私も結局はどっぷり世間や自分のバイアスにはまっていることがよくわかりました(ちなみに一番はまっているのは多分「意地悪世界症候群」です)

「この本を読めば大正解がわかる!!」なんてことはなく、むしろじていた正解すらあやふや、そんな状態になるかもしれません。

しかし、その柔軟性こそが、何よりバイアスに対抗できる唯一の方法であり、そして、自分の正解に近づいていけるようになると信じています。

ちなみにこの本は行動経済学・統計学・情報学となっておりますが、別のものもあります。

そちらも紹介したいと思いますのでもしよかったら、どうぞ。


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