政治家で一番言われたら多分イラッとする言葉です。でも事実なら仕方ありません。 最低からの始め方がわかります。 記憶にございません 監督 三谷幸喜

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映画 その他
映画『記憶にございません!』予告
東方ムービーチャンネル様より

オススメできる方

  • 自己否定して気分が落ち込んでいる方
  • 今の世の中が最悪だと思っている方
  • とりあえず、誰でもいいから政治家を思いっきり馬鹿にしたい方

とりあえずオススメできる方の件で政治家の方は申し訳ありませんでした。

日本の政治に対する国民の信頼度は正直に言うとかなり低めです。

政治をどこか他人事のように考える、というよりほとんど政治によって何かが変わったという自覚が持てないのが問題でしょうか。

私の持論ですが、大概、政治に対する影響というのは将来に向かって今の国民に見えないように進行していくというのが厄介なところです。

まあ、硬い話はここまでです。

今回のお話は国のトップが記憶をなくし、知識0、自信0、経験0、人望0の状態から進んでいく物語です。逆転劇、というよりは、ただ、最高の立場にいる人間が、最低状態に陥ったのを見てドタバタするのを楽しむ、という映画でしょうか。

……正直に言えば、この世界において駄目総理をここまで放っておいた国民にも間違いなく問題があると思いますけどね。

あらすじ

病院でとある男が目覚めました。彼は記憶を失い、夜の繁華街をさまよって歩いていたところ、黒塗り高級車によって保護されました。

側近による説明によれば、彼の名前は黒田啓介、総理大臣であり、演説中に石ころをぶつけられて、病院に搬送されたとのことです。。

お金大好き、汚職大好き、権力大好き、スキャンダルまみれ、他人のことなんて何も考えないで暴言も吐きまくるという歴代でも最悪の大統領と言われ、支持率は圧巻の2%代というよく総理を続けてこられたなと感心するレベルの人間、それが黒田でした。

周りの配下からも影でバカにされ、家族からも淡白な反応をされ、国民はといえば、石ころを当てられて心配するより、そもそも石ころを投げつけられるようなやつがこれ以上総理大臣をするなと言われる始末です。

しかし、現在は弱々しくなり、人との接し方も慎重で、悪いことを恐れるような性格、よく言えば誠実、悪く言えば臆病になり、ひとまずは国民を混乱させないため(喜ばせないため?)記憶喪失のことを隠すことにしました。

責任転嫁の常套句、黒田も使うのが大好きだった「記憶にございません」が現実に起こってしまった彼の運命は……。

最低が終わり、最低から上がる話

この物語の主旨は、政治家として、そして人として最低状態……というよりマイナス状態だった黒田が、記憶をなくしてほぼ0の状態になるという事態、すなわちもう一つの最低状態から奮闘するというものです。

記憶をなくした状態の彼はほとんど一般人と変わりません。むしろちょっと劣っている可能性すらあります。

彼自身、記憶のない自分がしてきたこと、そして今の自身を顧みて総理を何度もやめようかと考えました。

しかし、逆に行ってみれば自分の力は0、周りの評価は最悪と下がりようのない状況、側近たちの励ましもあって文字通り生まれ変わった気持ちで進んでいくことになります。

下がりきった評判がどう落ちようが構わず、総理をクビになったら当初の目的通りになるだけ。

失うものがないというのは良くも悪くも強いものです。

最も、本当に失うものがないのかはよく考える必要があります。本当に失う前に。

当たり前って当たり前?

記憶をなくし、不安だからどこか弱々しくなったということもありますが、何より客観的に記憶を無くす前の自分の酷さをみた結果、彼は人としても、また、政治家としても誠実に生きることを決意します。

そして部下のアドバイスのもと、たとえ記憶がなかったとしても以前の自分のことを謝罪し、政治家として成長できるように自ら勉強しつつ成長し、逃げ回っていた問題からも誠実に向き合っていくのです。

とまあ、こう聞くと「なんだ、当たり前のことじゃん」と言われそうですね。

しかし、やはりどれだけ駄目で残念で人望がない人間だったとしても仮にも総理大臣が誠実さ、例えば謝罪といった行動を表すというのはなかなか難しいものです。というより、マイナスまで落としたものを再び引き上げるのは同じ量のものをプラスにあげるより大変かもしれません。

実際に、「誠実なだけでは政治は無理」と劇中の言葉も出てきています。

立場が上になればなるほど、当たり前は当たり前でなくなり、難しくなっていき、価値が上がっていくものなのかもしれません。

価値に関しては他のなにかと交換することになってしまうかもしれませんが

総評

爆笑をするほどのコメディというよりは所々微笑ましさにクスリとしたくなる作品です。

政治の理想や、こうあるべきという重たい話も特になく、強すぎる権力を持ち、悪すぎる前評判を持った男が最低からのし上がる、という見方では、王道な話ですね。

登場人物達も個性が強く、状況が状況だけにどこかぎこちなさを演じたり、とても優秀な人が頭を抱えたりと、こういった状況でなければ見れないような場面も多いです。

記憶喪失……失うということは間違いなくネガティブですが、彼の場合はここからポジティブになっていきました。負の遺産ばかり背負っていたというのもありますが、彼の評判が大きく変わったわけではありません。

周りが変わる前の彼を覚えていたとしても、記憶をなくし、変わると決意した黒田はどんどん、周りを変えていきます。もちろん、劇的にではなく、少しずつですが、失ったことで彼は得ていくのです。

ネガティブ分を消した、とも言えますし、ネガティブを増やしてそれを全てポジティブに変えた、とも言えます。もちろん意図的なコントロールではなかったのですが、結果として彼はネガティブを活用したのです。

前に紹介した台風家族でも思ったのですが……

全てとは言えませんが、コメディというジャンルはポジティブな気分になりたい、ポジティブなものを見たいという方におすすめされることが多いですが、言ってみれば現在ネガティブな状態であることの裏返しということでもあり、ネガティブの活用法にも何かと役立つと改めて思いました。

ネガティブ目線で役立つ映画なら何でも紹介していきたいと思います。

要点へのヒント

この物語は色々な人が地雷を抱えています。地雷がいつ爆発するか、爆発する前に処理するか、あるいは爆発しないまま終わるか、を見ていくとハラハラしながら見ることができます。

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