「悪」のネガティブの宝探しをしてみましょう?圧倒的スケールのダークファンタジー『OVERLORD』を紹介します(全体の紹介、そしてちらっと最新刊紹介)

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ネガティブ・トレジャー!

おすすめできる人

  • 圧倒的な力ですべてをねじ伏せるようなものに感動を覚える人
  • 単純な善悪で推し量れないものを読みたい人
  • 異世界転生が好きですが食傷気味なのも否定しきれない人

おすすめできない人

  • 善人が報われないのが嫌な方
  • オンラインゲームなどの細かい設定が苦手な方
  • 猟奇的表現が極度に苦手な方

最初に

※余談ですが、使った画像は特別版なので黄色い本ですが、本来はドス黒い色の本です

さて、今回はいきなり何を紹介するかを語りましょう

ずばり絶賛、大人気のダークファンタジーであるライトノベル、  

『OVERLORD』(著:丸山くがね先生)です!!

ドン!!

※クリックすると販売ページに移動します。なお、こちらは最新刊ですので1巻から読みたい方は下にリンクを貼っておきます。

……ええ、わかってますよ。「今更かよ」というツッコミは……。小説にしても次が最終章と言われてますし、アニメももう4期(4回区切っているという意味です)ほど放送されていますからね。

しかし、”ネガティブ”・コントローラーを名乗っている当ブログでもやはり語りたいライトノベルなのは間違いありません。ダークファンタジーのジャンルにふさわしい殺伐とした世界、残忍と思われる人々の行動、しかし、その中にある確かな感動や温かみ……ネガティブだらけの雰囲気は宝探しをするにはふさわしい場所です。

最近、最新刊を読み終わったのでせっかくなので当ブログにふさわしくネガティブ的視点、そして何が得られたかをじっくりお話ししてみた、という感じで紹介いたします。

レッツ・ネガティブトレジャー!!

※やや専門用語が多くなりますが、ゲームを知らない方のためにも可能な限りわかりやすく解説いたします。

どんな物語?

荒廃化した未来の世界、バーチャルオンラインゲーム(ざっくり説明すると、リアルな感覚でプレイできるゲームです)である『ユグドラシル』にどっぷりハマっていた鈴木悟、彼はモモンガと名乗り、ギルド(一緒にゲームをするチームです)アインズ・ウル・ゴウンのリーダーでした。

異業種と呼ばれる恐ろしい姿をしたモンスターで過ごすプレイヤーのみで作られたアインズ・ウル・ゴウン、鈴木悟は”オーバーロード”と呼ばれる恐ろしい骸骨の姿をした魔導師でゲームをやり込むほど楽しんでおり、かつて一緒に過ごした仲間たちの時間は鈴木悟にとってもかけがえのないものでした。仲間たちは様々な事情で一人、また一人といなくなってしまいますが、それでも彼は仲間たちの居場所を守るため、ゲームをし続けたのです。

しかし、このゲームがサービス終了、つまりもうプレイできない状態となることが決まってしまいました。せめて終わりを迎えるその時にゲームの世界でとできればかつて一緒にいた仲間たちとともに迎えようとしましたが、わずか一人しか現れず、彼もまた仕事の疲れからすぐ去ってしまいます。

結局、かつて仲間たちとともに作り上げた居城ナザリック、及び、NPC(ゲーム内のキャラクター)と一緒に一人で迎えることになりました。

12:00のタイマーが刻まれたとき、全ては終わるはずでした。

しかし、終わるはずだったその時は訪れず、そして本来は意思を持たないはずNPCたちは感情を持って語りかけ始めるのです。

さらには自分が今いる場所は、自分が作り上げた施設「ナザリック」ではあるものの、存在する大地は全く異なる世界だったのです。

そしてとある事件をきっかけに、人間としての心を失いつつもこの世界の中で、もしかしたらいるかもしれない他の仲間達を探し、そして残されたNPCたちにふさわしい支配者になるために、鈴木悟であり、モモンガであったかつてのゲームプレイヤーは自分をアインズと名乗ることを決めます。

それは彼の大いなる変化の始まりであり、そして、世界にとっては厄災の訪れとも言えるものでした……。

おすすめポイント!

圧倒的な力

この作品を象徴付ける要素はの1つ目は圧倒的な力があげられるでしょう。

訪れた世界において、アインズとNPCたちの強さははっきり言って超絶規格外のものでした。その気になれば歩くだけで周囲一体の生命は根絶やしに出来ますし、軍隊を滅ぼそうと思えば、一瞬で跡形もなく消し去ることが出来ます。

それは恐ろしさと同時に、どこか爽快感を感じさせます。まるで人間同士で僅かな優劣を決めているのが馬鹿らしくなってくるみたいに魅入られる人はとことん魅入られるでしょう。(実はとある登場人物がこのような状態になります)

人が気晴らしをするには2種類あります。

一つ、自分より矮小なものを見て自分はまだましだと思うこと、もう一つは、自分よりとてつもなく巨大なものを見て小さな自分をどこかへやってしまうことです。(気づく方は気づきますが、某江戸漫画の駄目人間のセリフです

どちらが良いとは言いませんが、悩みを吹き飛ばすにはこのような形を取るのも良い手段と言えるでしょう。

ただ誤解なきよう言っておきますが、この力が一般的な正しい行動に使われているかと言われると客観的に見て8割ぐらいは使われていません。

善人でも悪人でも理由があってもなくてもひどい目に会う人々がいるのは当たり前、というよりうっかり発言によってあとに引けなくなったからと多くの人を不幸にしてしまったこともあります。

そういうのがどうしても駄目という方には無理には勧められませんが、覚悟を決めて、読んでいけば悩みの多くを解決するような新しい価値観を見つけられるかも知れません

とはいえ、途中で読むのをやめるのも決して間違いではありません。(事実、とある巻では非常に残酷な描写があり、その巻で読むのをやめたという話も多く聞きます)

悪にも三分の理

大事な部分を先に言っておきます。基本主要人物は悪人ばっかです。

特に顕著なのがデミウルゴスというキャラクターでしょうか。悪魔と呼ぶ以外にない見た目をしており、そして非常に知能が高く恐るべき存在です。はっきりいいますが作中での活動は人間目線でかなり残虐です。はっきり描写されている部分でもひどいですし、暗黙に描写されている部分でもとにかくひどいです。

まあはっきり言ってしまうと、外道と読んでも特に差し支えはないでしょう。他の作品で出てきたらさぞや読者からも嫌悪感を持たれる悪役になるのは間違いありません。

しかし、一方で同じナザリックの身内のキャラクターたちには非常に優しく紳士的であり、また主人公アインズへの忠義は非常に強く、見ていて悪を忘れせられるほどの一つの感動を生み出しています(なお、あまりにも頭が良すぎるため、アインズ様からは苦手意識を持たれているのは内緒です)

この忠義心のせいで、私はこのキャラクターを純粋に憎めず、悪だというのに、単純に否定しきれません

このキャラクターのように、当書籍では善悪でただ拒絶することが許されないような魅力が大量に詰まっており、これも新しい価値観を見つける要素であり、そして、ライトノベルどころか、他の書籍を読んでもなかなか得られないような快楽があるといえるでしょう。

全肯定の苦悩

圧倒的な力を持ちながらも中身は凡人である物語の主人公であるアインズ、彼の悩みは様々なものがあります。

彼は現実では、しがないサラリーマン、あるいはそれ以下の人間だったと自負していますが、物語が始まった世界では、ほぼすべての存在が彼を傷つけることはできず、指先一つで簡単に生命の命を散らすことが出来ます(比喩ではなく実際に何度もやらかしています)

そしてかつての仲間たちが生み出したキャラクターたちは彼に絶対の忠誠を誓っており、アインズのやることなすこと全肯定します。

しかし、やはり、それはそれで寂しいもの、かつての仲間たちが残したキャラクターを愛するアインズは彼らに自主性を持ち、彼らに自分に仕える以外にも楽しみや幸せを持ってほしいと思っているのですが皮肉にも、強すぎる忠誠心故になかなかうまくいきません

圧倒的な力をもっているはずの彼ですら得られそうで得られないもの……このあたりもただのダークファンタジーらしからぬ親近感があるのではないでしょうか?

かつての大切な友人たちが作り上げたNPCは彼にとっておいていかれた子供のようなもの、彼らをまた、幸せにするために、そして、ただ自分に依存させないために様々な取り組みを考案します。

殺伐とした世界観の中でのこのギャップは思わず微笑んでしまいそうになるでしょう。

注意点

もう一度警告しますが、この物語は勧善懲悪的な側面はほとんどなく、一般的な価値観から遠い描写も多く、残酷な描写やわずかですが、猟奇的表現も含まれている作品であり、人によっては敬遠したくなる部分はあるでしょう。

ダークヒーロー的側面なども期待してはいけません。最初の1〜3巻あたりを見ているとそういう物語と思いたくなりますが、騙されてはいけません。いや、別に騙そうとしているわけではないですが、誤解する方も多いみたいです。

ただ、逆に、勧善懲悪やよくある異世界転生物語に飽きており、残酷描写も大丈夫という方なら一見の価値はあるでしょう。途中で読むのをやめてしまう方もいらっしゃいますがそこまででも十分面白いと思いますのでお試しで読んでみてください。

最新刊について

さて、アイキャッチ画像にも使った最新刊についても最後に少しだけお話しておきましょう。

……実を言うと、少し盛り上がりにかける巻かもしれません。

というのも前巻と前前巻が非常に(悪い意味でも)盛り上がる話であり、今回はひっそりとすごすといった印象を強く感じました。

とはいえ、これが先に上げた「悪を貫きながらもどこか温かみもある」ことの証明でもあり、むしろ少しほっとしたかたもいるかもしれません。

ただし、おそらく次の最終巻にむけての箸休め的な側面もあり、油断はなりません。というより、だからこそ次回の展開が非常に楽しみになる内容でした。

ちなみにいないとは思いますが、この巻から買っても何も面白くはないと思いますので始めてみた方で興味を持った方はぜひ1巻からどうぞ。

最後に

まあ、何度も言いますが、万人向けする話ではありません。

はっきり言って、主人公側がやっている行為はなかなかに外道であり、最低といっても過言ではないでしょう。主人公に悪感情を抱くのも無理からぬ事、衝撃的な展開に読むのをやめてしまう方も多いです。

(大量虐殺、洗脳、拷問etcetc)

しかし、ただ気分が暗くなる物語かというと決してそうではありません。かつての仲間たちだった人たちへの思い出、彼らの雰囲気を残すキャラクターたち、そして凡人でありながらも至高の存在として四苦八苦するアインズ様、現実とはほど遠く、価値観も理解し難いはずなのに、どこか微笑ましさ、寂しさ、そして共感性を生み出す側面を持つ物語であるのも事実です。

何より、この手のダークファンタジーの最大の長所は「最後がどうなるかわからない」というものがあるでしょう。一般的なファンタジーでも最後をバッドエンドにするなどで意表をつくことはできますが、それは予想を裏切ると同時に期待を裏切る行為になりがちであり、批判される原因となります。

そしてさらにこの『OVERLORD』は間違いなくダークファンタジーでありながらも、主人公アインズを始めとしたNPCたちの和気藹々としたやり取りと、対する残虐性の比率が非常に重なり合っており、ますます「最後」が全く予想が付きません。

悪でありながらもどこか親しみを感じこのままでいてほしい、と思う一方、悪である以上、どこか制裁を期待してしまう……そんな相反する2つの感情がいかなる結末をも受け入れられる下ごしらえを生み出すのです。

……とはいえ、やはり主人公であるアインズたちの絶対勝利を願う声も少なくなく、私もやはりそちらを期待してしまうのは、読者びいきというものでしょうか?

注意点でも述べましたが、ありふれたファンタジーものに飽きている、勧善懲悪の物語は先が読めすぎているなどで飽きてしまっている方、そしてなにより残酷な描写にやや耐性がある方にはぜひぜひおすすめです。

この本を読めば、案外、悪をもって悪を制す方法が見つかるかもしれません(もちろん犯罪は駄目ですけど)

電子書籍版となってしまいますが、よかったこちらをどうぞ♪


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