「悲観」の宝探しをしましょう!「心配するな、きっとうまく行かないから」これは諦めの言葉ではありません。これぞネガティブ力の真骨頂です。『絶対悲観主義』著:楠木  建さんの本を紹介します。

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ネガティブ・トレジャー!

おすすめできる人

  • どうしてもポジティブになれない方。
  • 失敗に凹みがちな方
  • 成功しなければ面白い人生を味わえないと思う方

ネガティブ・トレジャー!!

多くの人が近づきたがらない「悲劇」にはたくさんの力が眠っています!

※青い文字をクリックすると私の別の記事に移動します(他のリンクはありません)

最初に

悲観主義

いわゆる、ネガティブ思考と言い換えてもいいでしょう。前に紹介したこの人みたいに専門的に人生において活用するために研究している方もいらっしゃいますが、一般的には

「どうせ駄目だ」「自分なんか……」「努力しても報われない……」

といったことをついつい考えてしまう習慣ができてしまい、人が行動できなくなる理由、そして自分も他人も辛くしていく感情です。

実際この感情が引き起こす障害は精神的にも肉体的に多く存在します。

ネガティブであるだけで人生の寿命、あるいは健康寿命な大幅に短くなりますし、引きこもり、ニート、対人恐怖症、ネグレクトなどは少なからず、この考え方が影響していると言われています。

「じゃあポジティブになればいいじゃん」

とおっしゃる方もいらっしゃいますが、なかなかうまく行かないのが世の中。可愛くて美人な、あるいはかっこよくて優しい異性の方に応援してもらうだとか、埋もれている才能を見つけたりだとか、旅に出て新しい発見をしたりだとか、そのために頑張ろうとポジティブになる要素は確かに世の中色々ありますが、そんなに都合よくは行きません(というより、もしたまたまそんなドラマチックな場面に遭遇したら詐欺を疑いましょう)

ポジティブを主張する多くの成功者の影には、また多くの失敗者がいるのも事実です。

じゃあどうすればいいか。ポジティブになれないのならただただ人生に絶望するしかないのか。そんなことはありません。

成功するか失敗するかの間で揺れ動くのが苦しいなら、

いっそ常に「失敗するだろうな」という気持ちでいればいいのです。

そのための本がこちらです。

突き詰めた悲観はあなたの想像以上に強く、そして面白いものですよ?

どんな本?

著者が掲げる「絶対悲観主義」のもとで生き方や幸福、健康やお金などについて語るエッセイです。こんなタイトルにキャッチコピーですから、さぞかし気分が暗くなるようなお話が多く語られるのかと思いきや、正直、予想を180度ひっくり返すほど文章全体は明るくてユーモアのある内容でした。

「絶対悲観主義」による力、人が苦しむ理由、対抗策を様々なユーモア溢れた文章で紹介していきます。正直、最初から最後までネガティブとは程遠いと錯覚してしまうほどです。(おかげさまで読んでいる最中に項目をやっぱりネガティブ・ブレイクにしようか悩む羽目になりました)

悲観主義をもてあまして、行動できなくなったりつらい思いをしている方、あるいは、中途半端に楽観主義になろうとしてかえって苦しんでいるような方はぜひ突き抜けた不動の「絶対悲観主義」のお話を聞いてみてください。

ポジティブにはない力が身につくかも知れませんよ?

おすすめポイント!

「絶対悲観主義」の力

著者の主張する、「”絶対”悲観主義」はただの「悲観主義」とは違い、完全に割り切っているからこそ、得られる非常に協力な効果があります。今回はその中で私が選んだ特に強力なものを3つ紹介いたします。

プラスのマイナス回避「成功しない強さ」

成功を目指す途中で嫌なことがある場合、どうしたら回避できるか、あるいは乗り越えるにしてもどうしたら傷を少なくできるか、人類が誕生して以来、おそらく身に染み付いた習慣ですから、多くの人ができるできないはおいといて考えることでしょう。

しかし、成功したらどうでしょう?思考停止してついつい気を緩めたり、心地よい空間にどっぷり固まってしまったりしないでしょうか?そして、成功体験がもとで前に進めなくなったり挑戦が恐ろしくなったり……アスリート、経営者、様々な失敗談としてよく上がる話です(私もブログのPVが増えたりするとついつい完全に同じやり方をやろうとしてしまうので身に覚えがあります)

「絶対悲観主義」は「成功しない」「成功していない」と思いこむことで回避します。「虚しくないの?」と思われるかもしれませんなかなか馬鹿になりません。失敗を気にしなくなる。物事に固執しにくくなる。自分に都合よく考えない。とかなりの長所があります。

次の章でもありますが、成功の痛みを回避できる能力は非常に大切です。もちろん、そんなことよりただ成功を目指したいと思う方もおっしゃるかも知れませんが、ここは我慢のしどころ。

乗り越えればさらなる驚きが待っています。

意外すぎるアグレッシブ作用

「心配するな、きっとうまくいかないから」

この本のキャッチコピーでもあるこの言葉ですね。一見全てを諦めているネガティブ全開の言葉のようですが、これは「何も期待していないからとりあえず行動してみる」ができるということです。最初にハードルを下げるだけ下げ、うまく言っても落ち込まず、相手に自分に都合よく行動してくれることを期待していないので、相手の気持ちになって物事を考えられ、失敗しても想像通りなので対してダメージを受けません。

つまり、普通の人が行動できなくなる理由がほとんど無くなるわけです。予想外の出来事すら予想通り、自分だけはうまくいくどころか「自分は必ず失敗する」と考えることで、失敗をスムーズに受け入れ、より成長し続けるための道標も得やすくなります。

前に、この本で「成果主義」を目指すより、「成長主義」のほうがおすすめ(要約)と説明しましたが、失敗を利用することを前提としたこの考えによる力は、一種の「成長主義」を前提としているのかもしれません。

私の師匠に当たる人は、ポジティブで行動力がありますが、もしあの人みたいにポジティブになれない場合、こういうアプローチ方法もあるということが知れたのは幸いでした。

「本当の自分」のための”ろ過”

「絶対悲観主義」は簡単に自分を肯定しません。なぜなら悲観しているからです。なので、褒められても簡単には信じないところがありますもちろん、悪い点もありますが、だからこそ、本当に自分が得意なものを見つけられます。ビギナーズラック、たまたまうまくいった、あまり好きではないこと等といったことも最初は褒められることが多いです。

そして、大概は余計なことに時間が取られたり、ひどいときには大金を騙し取られたり……そういったことにも簡単に肯定しないため、ただただ悪いところだけを見つめて磨き続けることができるのです。特に今のご時世、副業が何かと流行っていますから、この考えを持っていると、余計な詐欺に騙されなくてすむかもしれません(私もtwitterで声かけられました)

先程の言ったように「絶対悲観主義」は「どうせ失敗するし」という考えのもと、アグレッシブに行動しますので様々なことに挑戦します。そして、一度や二度、褒められたぐらいで全く動じません。そして、その過程で無駄なものをこそぎ落とし続け、ついに「絶対悲観主義」が膝をつけるまで褒め言葉を受け入れないのです。

その時には汚れや、建前を落としきった、純粋な「真の自分の実力や願望」がわかるでしょう。もちろん、ポジティブな人間にはわからないとは言いませんが、「絶対悲観主義」にこの力があるのは確かです。

ユーモアはポジティブ?ネガティブ?

さて、ここまで読んできた方の中には、「とはいっても”絶対に”悲観主義のまま人生を送っているんでしょう?悲しくない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ところがどうして……。間違いなく物事は悲観主義で見ていて、「うまくいかない」と考えていますが、人生を振り返った文章を見ていると非常に楽しそうにしています。

「客観的に見ているから楽しく見えるのであって、本人は辛いのでは?」と思われるかも知れませんが、むしろ主観的にどう楽しいか、どう楽になっているのか語っているのでそうでもないと思われます。

これは、「絶対悲観主義」によってどこか緩さがあり、しかし、決めるときは決めるというバランスが非常に成り立っているからだと思います。さらに言えば、ただ楽しいことがあるからユーモアな人というわけではなく、「絶対悲観主義」のもと、様々な苦難を体験したからこそ、それをおもしろおかしく伝えられるということでもあります。

お笑い芸人の方が現実で、それも自分の身に起きたら悲惨と言っていいほどのコントをおもしろおかしく伝えられる技術と同じようなものを感じました。

「絶対」の「悲観主義」は人を遠ざけるのではなく、人を近づけさせるユーモアを生み出す効用もあるのかもしれません。

注意点

正直に言うと、「絶対悲観主義」について語ってくれるのは途中までで、かなり多くのことを学べるのですが、そこからは「絶対悲観主義」と結び付けられるような結び付けられないような「著者の意見あるいは人生観」がやや多めです。

具体的に言うと、7章辺りまでは「絶対悲観主義」をどのように活用しているかを話している場面が多くありましたが、それ以降はやや「絶対悲観主義」の概念が薄れてしまいます(第11章あたりの「失敗」で少し復活します)

面白い人生を送っている方であり、エッセイ自体はなかなか見どころがあったのですが……「絶対悲観主義」の奥深さを知りたい方には少し物足りない部分があるかもしれません。

最も、7章まででも十分、「絶対悲観主義」の考えの力は理解できましたし、私がわからなかっただけという可能性もありますから読んで損はないということだけは保証いたします。先にも言いましたが「リモートワーク」の話なども、ただ肯定するだけではないという点で面白い内容でした。

最後に

なにかと敬遠されがちな「悲観主義」について「絶対」をつけて突き抜けながらも、ネガティブさの嫌な部分を感じさせないほど明るく、そして非常にためになる経験談が詰まった一冊でした。

ポジティブがもてはやされる世の中ですが、決してポジティブなままではいられません。特に日本人は、謙遜や謙譲が美德される文化ですから、ポジティブとネガティブのバランスを取るのは非常に難しく、ポジティブが合わない人に合わない部分があるでしょう。

そういうときはこの著者のように一見、ネガティブな方向に思いっきり振り切ってみるのがおすすめです。多くの人が試すようなポジティブ方法などはおそらくきっと試していることでしょう。だからこそ、一見、多くの人が嫌がりやったことがないようなやり方を試してみると意外な突破口が見えるというのもよく聞くお話ですね。

うまくいくか心配ですか?じゃあ私からもこの言葉を送ります。

「大丈夫です。きっとうまくいきませんから」

お気軽に試して見ましょう。


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